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Vol.21

學報トピックス

◆ キッズオープンキャンパス
「スローフードから学ぶ食育〜ゆっくりいただき ゆっくりかえそう〜」を開催

― 神戸学院大学 有瀬キャンパス 大学会館 マナビーホール ―
開催日時: 2008年11月15日(土)13:30〜16:30

兵庫県内の大学・短大でつくる「大学コンソーシアムひょうご神戸」の地域交流事業の一環として実施されている「キッズオープンキャンパス」(兵庫県、神戸市後援)。神戸学院大学では今回、「スローフードから学ぶ食育〜ゆっくりいただき ゆっくりかえそう〜」をテーマに開催し、親子など家族で参加した地域の方々約30人が、講師の方々や本学栄養学部を中心としたサークル・文化会系クラブの学生スタッフらとともに、食育や食物を取りまく環境について学びました。

◆ キッズオープンキャンパス「スローフードから学ぶ食育〜ゆっくりいただき ゆっくりかえそう〜」を開催

スローフードについての講演 〜「命」「心」「絆」を育む食育〜

スローフードの必要性を語る植木砂織さん

スローフードの必要性を語る植木砂織さん

今回の企画を手がけた本学栄養学部の大畑仁美講師が司会進行役として、キッズオープンキャンパスが始まりました。まず、本学末永利明企画部長より開会のあいさつがあり、続いて神戸スローフード協会代表の植木砂織さんが、「スローフードってなに?」をテーマに講演を行いました。

植木さんは、調理や製菓の専門学校である学校法人育成学園の理事長として次代の食文化を担う若者を養成する一方、食を見つめ直す活動を手がけておられます。「スローフード」とは、その土地ならではの特徴のある多様性に富んだ食べ物、またその味や食文化を見直す提言を指す言葉で、どの土地でも同じ画一的な味の「ファーストフード」と相反したものといえます。発祥の地、イタリアにあるスローフード協会本部では、活動に貢献のある人への賞も設け、日本人の受賞者もいるとのこと。講演では、「スローフード」の基本方針が説明されました。その一つは、消滅の危機にある郷土料理や質のよい食品を守ること。神戸界隈なら神戸牛、しし鍋、いかなごのくぎ煮といったなじみのある食べ物を今後も守り、伝えることです。また、日本にある季節ごとの行事や食べ物を守り伝えていく大切さについても述べられました。このほか、質のよい素材を生産する小規模生産者へのサポート、子どもたちおよび消費者への味の啓蒙教育が基本方針であることも紹介されました。最後に「食は生きていくために必要なもの。命です。そして、心であり、人と人とを結ぶ絆であり、文化でもあります。神戸や日本の食文化を守り、次の世代に伝えていくことが大事です」と締めくくると、会場から拍手が起こりました。

体操や試食に続き、食とエコについての講演 〜生産から廃棄までの省エネとは?〜

休憩時間には、子どもたちが会場に用意された「大豆つかみゲーム」に挑戦!大豆を一粒ずつ箸でつかんで、別の皿に移す速さを競いますが、みんな夢中になっていました。また、舞台では神戸学院大学のマスコット「マナビー」が登場し、文化会「ふ〜ばる.com」のスタッフたちと食育体操の「ちゃんと食べよう体操」を披露。子どもたちも一緒になってのびのびと体を動かしていました。
その後、サークル「神戸学院キッチン」の栄養学部栄養学科1年次生の中野寛士さんが試食のお菓子の作り方を説明。試食のお菓子は、同サークルのメンバー約20人が作った「さつまいもの蒸しケーキ」と「にんじんのクッキー」です。蒸しケーキの材料には、サークル「農園〜enjoy life〜」が大学内の農園で栽培し、収穫したさつまいもが使われています。会場の後方に用意されたテーブルには、約30人分の小さなお盆にお菓子が丁寧に盛り付けられていました。蒸しケーキの上には、旬の柿が彩りよく飾られ、お母さんや子どもたちは、手作りの味と色彩を楽しんでいました。

食とエネルギーの関係をわかりやすく説明する高山傑さん

食とエネルギーの関係をわかり
やすく説明する高山傑さん

次に、NPO法人エコロッジ協会代表理事の高山傑さんが、「食事からもエコロジー」をテーマに講演を行いました。高山さんは、環境に配慮した地域振興型宿泊施設のエコロッジやエコツーリズムの普及活動に携わっておられますが、今回はエネルギー面から見た食の世界について講演しました。はじめに、食べ物が生産されて消費者の手に渡り、ごみとなって焼却されるまでのサイクルや、そこに使われるエネルギー消費量が描かれたイラストが映し出されました。例えば、野菜を温室で育てたり、出荷に車を使ったり、購入したら冷蔵庫に保存したりするなど、食の世界と電気やガス、ガソリンは切り離せません。高山さんは、「地球環境を考え、エネルギーの無駄を出さないためには、レジ袋はもらわない、同じ値段なら遠くから運送されてくる外国産よりも国産のミネラルウォーターを選ぶ、冷蔵庫にものを入れ過ぎない、といった行動を」と、身近な取り組みについて説明しました。生ごみが処理される際にもエネルギーが使われており、生ごみの約30%は食べ残しや賞味期限切れなどの保存食品と指摘。「食べる量だけ買う。容器や袋も気にして買う。食材を使い切る。生ごみは十分に水切りする」と省エネのポイントについても話されました。

クイズとコンポスト作り

10分の休憩をはさんで行われたのは、サークル「農園〜enjoy life 〜」による体験談「いろんな食べ物を育てたよ!」。同サークルでは、大学内の農園でさまざまな野菜を栽培していますが、その体験にまつわるクイズがメンバーの栄養学研究科修士課程2年次生の藪下亮さんから出題されました。「これはなんの花?」「おくらに花は咲くでしょうか?」など、スクリーンに映し出される問題を、舞台に上がった子どもたちは一つひとつ懸命に考えていました。また、サークルのメンバーが持ってきたさつまいもの蔓は皆で持ち上げると全長5m以上に及ぶもの。ほかの作物にも触れてみながら、野菜についていろいろなことを学びました。

「う〜ん、何だろう」。クイズの答えを考える子どもたち

「う〜ん、何だろう」。クイズの答えを
考える子どもたち

学生スタッフに教えてもらいながら、親子でダンボールコンポスト作り

学生スタッフに教えてもらいながら、
親子でダンボールコンポスト作り

最後のプログラムは、コンポスト作り体験です。コンポストとは、動物や植物が微生物によって分解され堆肥化したもの。材料に毎日生ごみを投入して作り、できあがったものは菜園や花壇の堆肥として役立てます。大畑仁美講師から作り方や注意点の説明を受けた後、水こけが堆積したピートモスやもみ殻くん炭、試食の調理で出た生ごみなどをセットにした段ボールが参加者に配られ、コンポスト作りが始まります。混ぜ方などは文化会「ふ〜ばる.com」のスタッフにアドバイスをもらいながら、あっという間に段ボールコンポストが完成しました。

参加者からは、「コンポストには以前から興味があったので、今日は作り方を教えてもらえてよかったです。またこんな機会があれば参加してみたい」という声が聞かれました。また、今回のキッズオープンキャンパスについては、「講師の方々のお話で、知っているようで知らなかった食育やエネルギーの知識を得られ、参考になりました」との感想も。子どもたちに人気だったのは、クイズ。お父さんと一緒に参加した男の子は、「5問中3問正解できて、楽しかった」と元気に応えてくれました。参加者は段ボールコンポストとさつまいものお土産を手に会場を後にしました。

地域の子どもたちの健全育成をめざし、
キッズオープンキャンパスを開催

神戸学院大学 企画部長
末永 利明

キッズオープンキャンパスは、兵庫県内の大学が加盟して組織する「大学コンソーシアムひょうご神戸」の地域交流事業の一環として行っています。大学コンソーシアムひょうご神戸とは、兵庫県下34の大学と短大が大学相互の連携を深めるとともに、地域社会や自治体、産業界そして県下の大学が協力し合うことにより、大学の教育研究の向上を図り、地域社会の発展に寄与することを目的に発足したものです。キッズオープンキャンパスは、12の加盟大学が実施。キャンパスを地域に開放し、子どもたちの健全育成を目的に、今回のテーマである食育をはじめスポーツや芸術、文化などさまざまな分野での催しを開催しています。

本学は、昨年、ポートアイランドに開設した新キャンパスを「都市共生型キャンパス」と位置づけています。一方、有瀬のキャンパスは住宅地に立地。人びとの暮らしと一体的な地域の特性を活かして「コミュニティ型キャンパス」と位置づけ、健康で安全な生活の実現を探求するキャンパスをめざしています。このようなことから、これまでも20年にわたり、地域の皆さんに向けて、グリーンフェスティバルや公開講座など本学独自のプログラムを実施してまいりました。ほかにも、学生たちが学んだことを学外に発表する催しも行っています。今回は、こうした実績をふまえ、栄養学部の全面協力により、「スローフードから学ぶ食育」をテーマに、キッズオープンキャンパスを開催することになりました。現代社会において大きく注目される食育や環境問題をともに考え、ともに体験いただく機会となるよう、願っております。

食物の環境を守るには
一人ひとりの心がけが大切

神戸学院大学 栄養学部 講師
大畑 仁美

神戸学院大学 栄養学部 講師 大畑 仁美

「食べること」は地球の環境やほかの生物とのかかわりで続いてきたものです。食育の一環として、食べるために自分たちができることって何があるかな?と一緒に考えてみたいと思い、今回は欲張りなプログラムになりました。生き生き育った食物は私たちに栄養や元気を与えてくれます。そのよい環境を守っていくには一人ひとりの小さな心がけが大切です。

栄養学部生中心に「作物を育てる」「料理をする」「食育を広める」という目的で活動しているグループと一緒に準備し、楽しく参加者のみなさんと過ごせた時間はとても貴重なものでした。今回のテーマはまだまだ始まり。これからも私たちが地域に貢献できることを見つけていきたいと思っています。

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