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Vol.14

學報トピックス

◆ 「西区防災学習会 いざ!そのときのために」を開催

― 神戸学院大学有瀬キャンパス 15号館1階 ―
開催日時: 2008年3月1日(土)14:00〜16:00

昨年5月、本学と神戸市西区は、安全・安心・健康・交流などにおける相互協力体制を促進し地域の発展と人材の育成に寄与することを目的として、連携協力協定を締結しました。今回の「西区防災学習会 いざ!そのときのために」は、協定締結後初めて、本学と西区合同で開催された学習会です。また、本学学際教育機構の防災・社会貢献ユニットとスポーツマネジメントユニットによる、初めての合同イベントとなります。当日は、伊川谷自治会、防災福祉コミュニティの役員、民生委員、地元消防団員など約50人の方々が参加しました。

多くの参加者で埋まった15号館の106号室

多くの参加者で埋まった15号館の106
号室

洪水ハザードマップを手に、丁寧に誌面の説明をする清水主査

洪水ハザードマップを手に、丁寧に
誌面の説明をする清水主査

消防署員の首村主査は身振り手振りで防災意識の大切さを力説

消防署員の首村主査は身振り手振りで
防災意識の大切さを力説

防災福祉マップ作りの成果などを報告する前田さん

防災福祉マップ作りの成果などを報告
する前田さん

スポーツマネジメントユニットの二杉ユニット長

スポーツマネジメントユニットの二杉
ユニット長

学習会は、第1部から第4部の構成で開催されました。開催の冒頭で、防災・社会貢献ユニットの金芳外城雄教授から学習会の進行内容が紹介され、神戸市西区の宮野愛治区長にごあいさつをいただき、学習会がスタート。次に、西区役所まちづくり支援課の清水主査に、西区の「洪水ハザードマップ」について、続いて、西消防署の首村主査に「避難勧告と避難指示」をテーマに、それぞれ説明をしていただきました。お話の中で、清水主査は「近年は、地球温暖化の影響で突発的な豪雨などによる水害の問題が深刻になっています。西区でも、3つの川からなる明石川水系が区内を流れていることもあり常に洪水被害の危険にさらされています。洪水ハザードマップは、浸水想定区域を地図上に落とし込み、避難勧告や避難指示、防災福祉コミュニティの紹介など、避難に関する各種情報も盛込みながら作成された地域の防災マップです。この洪水ハザードマップが各家庭に配られることにより、住民の方の避難行動が早まるという効果が実証されていますので、ぜひ、日頃から目につく場所に置いていただいて利用していただきたい」と話されました。また、首村主査は、「災害時における消防署からの情報には、数時間後の災害が予想される際に避難の準備を促す『避難準備情報』、それより被害が迫ってきた時に発せられる『避難勧告』、被害の危険が切迫してきた時に発せられ、より拘束力の強い『避難指示』に分けられます。いずれも、家族の方との連絡を密にして持出品の準備をしていただくなど、いつでも避難できるように体制を整えておくことが大切です」と語っていました。現在では、行政機関のパトロール車による広報のほか、テレビやラジオ、パソコンや携帯電話などさまざまな方法で地域の防災情報を手に入れることができるので、それらを活用して素早く情報をキャッチし、万全の避難体制で災害に臨むことの必要性を説いていました。また、お二人とも、地域住民が防災に関する情報交換を日頃から密にしたり、防災訓練を頻繁に行うなど、いざという時に結束して災害に対処できる地域社会であることが大事であると強調。高齢者や障害者など、災害時に他の人の援護が必要な方たちを「災害時要援護者」と言いますが、こうした方たちに対する支援体制をしっかりしておくことも、少子高齢化の現在では特に重要であると力説していました。

続いて、本学防災・社会貢献ユニットの3年次生、前田緑さんが、ユニット生で作成した「防災福祉マップ」についての報告を行いました。この「防災福祉マップ」は2006年度の西区安全協会の表彰を受けた取り組みです。大学周辺の伊川谷地区を対象に、防災・社会貢献ユニット生50人を4クラス12体制に分け、それぞれが4地区を担当して住民の方へのアンケート調査を実施。また、公衆電話の設置箇所や危険箇所の調査を実施し、それらの結果をハザードマップに落とし込むという作業を行いました。アンケート調査の内容は、避難所の周知度、要援護者の存否、防災グッズやマップの常備についての4項目です。調査の結果は、住宅密集地や住宅と店舗混在地域など、地域の特性によってアンケート結果に多少のばらつきはありましたが、いずれの質問に対しても肯定する回答は高いとは言えず、各住民の防災意識が総じて低いという結果となったことが報告されました。この結果を受けて前田さんは「住んでいる住民の方たちへの防災情報の提供だけでなく、他の地域から働きにきている方たちへの情報の提供や、高齢者・障害者の方たちに対しての避難誘導体制の確立などが大切であると感じました。そのためには、この防災福祉マップのような取り組みを私たちが今後も継続させ、老人福祉施設や区役所の方をはじめ地域住民の方からの協力を得ながら連携を強化していくことが大事だと思います」と、感想を述べていました。

西脇満準教授と津田真一郎準教授のレクチャーで体を動かす参加者

西脇満準教授と津田真一郎準教授の
レクチャーで体を動かす参加者

応急手当の実演を熱心に見守る参加者

応急手当の実演を熱心に見守る参加者

引き続き行われた参加者からの質疑応答の際には、こうした学習会に対する感想では「よいことなので、住民であるわれわれも協力していきたい」という肯定的な意見のほか、西区の洪水ハザードマップについては、マップそのものについては好評だったものの、「もう少し情報を集約してコンパクトにしてほしい」「もっと狭い地域の詳細な情報を掲載して欲しい」「土嚢の作り方を教えてほしい」など具体的な要望もありました。そんな中で、伊川谷地区の森脇自治会長は、「伊川谷地区ひとつをとっても、河川に面している地域の方と有瀬のように高台に位置している地域では治水対策についても温度差があります。洪水が心配される地域では木1本のことでも、水の流れが変わるという事で切ってほしいと要請され、そうした心配のない地域の方からは切らないでほしいと言われたりするので、難しい判断を迫られることがよくあります」と、住民が一丸となって防災意識を共有する事の難しさを指摘しておられました。

その後、第4部では、「いざという際には、元気で体力があることがとても重要です。筋肉は刺激を与え続ければ大きくなり強靭になります。避難する時に倒れたりしてそこから病気を誘発させないために、予防をかねた体操を行ってほしいと思います」と、スポーツマネジメントユニット長の二杉教授。スポーツマネジメントユニットの西脇満準教授と津田真一郎準教授の指導のもと、参加者の方々は椅子に座りながら簡単にできるストレッチの方法などを実践しておられました。その後、救急インストラクターの資格を持つ防災・社会貢献ユニット生によって、救急患者に対する初歩的な対処方法の実演が行われ、学習会は終了しました。

住民ひとり一人が
日頃からの防災意識を高める努力を

神戸市西区
宮野愛治 区長

神戸市西区 宮野愛治 区長

以前、区民の方に集まっていただいた際に防災の基本的な知識の有無についてお聞きしたところ、案外ご存じでない方が多くショックを受けた事がありました。ハザードマップなどについても、ほとんどの方がご存じなかったのです。そうしたことを考えても、今回のような住民の方々を啓蒙する形での学習会は大変重要だと思います。現在西区では、『安心・安全』を主な目標とし、中期5カ年計画を進行中です。計画に沿って治水対策のための河川改修工事を随時進めてはおりますが、工事は多くの予算もかかり工期は長期にわたるため、急に発生する水害などの災害から区民の皆さんを完全に守ることはできません。そのため、区民の皆さん自身が災害時にいつ、どこに避難すればよいかを判断していただく必要があるのです。今回この学習会に参加されておられる各地区の自治会長など地域の代表者の方々が、ご自身の地域の皆さんに本日の学習内容をどれくらいきちんと伝えていただけるか。それが大変重要なのです。防災訓練にしても、例えば伊川谷地区全体で実施しても効果はあがりません。同じ地区の中でも水害や風害、地震災害と地域特性によって災害対策が異なるからです。また、実際に避難時のサイレンを鳴らしてみるとか、現実に災害が起こった場合のできるだけ細かいシミュレーションを行う必要があります。こうして、住民の方、ひとり一人が自分自身の事としてしっかりと受け止めていただいて災害時に的確な避難ができるよう備えていただかなくてはならないと思います。大学から防災の専門家である先生方や学生の知恵と力をお借りして、このような学習会のほか防災訓練を合同で行うなど、われわれ自治体と大学が今後も協力して住民の防災意識を高めるための努力をしていかなければならないと思います。

この学習会をスタートに
地域との更なる連携を目指す

学際教育機構
防災・社会貢献ユニット
金芳 外城雄 教授

学際教育機構 防災・社会貢献ユニット 金芳 外城雄 教授

2008年度から防災・社会貢献ユニットでは、伊川谷地区の洪水ハザードマップに沿った形で防災福祉マップを制作する予定になっています。ユニットの学生たちとともに、区役所や消防署など地域の方々とも連携しながら地域に密着した調査を行い、さまざまな問題を探り出していこうと考えています。学生にとっても、社会との接点を持ちコミュニケーション能力を養う事は、彼らの将来にとっても有意義なことであると思います。今回の学習会では、参加者の方々に、防災・社会貢献ユニットで行っている市民救命士講習を自治会で実施してほしい、あるいは、地元での防災説明会に参加してほしいとの打診を受けるなど、われわれの取り組みが実を結びはじめているという実感を持つ事ができました。この秋、合同の防災訓練の実施を予定しています。本日をスタートとして、今後はこうした学習会だけではなく、さまざまな取り組みを実施していきたいと考えています。

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