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2014年2月
学部生や大学院生が地域の子育てに貢献。

神戸学院大学のSocial in 〜地域社会とともに〜 学部生や大学院生が地域の子育てに貢献。 前田 志壽代 人文学部 准教授

神戸学院大学の学部生や大学院生が、実習を兼ね地域と連携した「子育て支援事業」を実施。地元の親子や子育ての専門家から高い評価を得ている。かつて公立総合病院の児童青年精神科に臨床心理士・精神保健福祉士として勤務し、心理検査や心理療法に携わった経験もある前田志壽代准教授に、支援事業の内容や今後について聞いた。

実習授業で子どもたちと密な交流

人文学部准教授 前田 志壽代

神戸学院大学は、地域と連携した「子育て支援事業」を人文学部人間心理学科・発達心理学領域の学部生、人間文化学研究科・臨床心理学系の大学院生、担当教員が中心となって展開し、地域の母親らから高い評価を受けている。代表的事業の一つが「子育てサロン(有瀬キャンパス14号館・行動観察室にて開催)」だ。大学授業日の毎週水曜日の午後1時から3時まで、地域の親子が遊具やおもちゃなどを利用して楽しい時間を過ごしている。学部生と大学院生が、子どもたちの年齢や季節などに合わせた約2時間のプログラムを企画し、試行錯誤しながら運営。実習授業の一環として、学部生の場合はゼミ別に当番制で年間4回、子育てサロンに携わっているという。

「前期と後期に分けて参加希望の親子を募集していますが、非常に好評で常に満員状態。空きが出るのを待っていただくような状況です」と、発達心理学を専門とする前田准教授。毎月第3金曜日に行われている「母と子のアートで遊ぼう(有瀬キャンパス7号館・プレールームにて開催)」も非常に人気があるという。「芸術療法を専門とする教員が中心となり、大学院生が親子をサポートして、絵を描いたり手芸品を作ったりして楽しんでいただいています」。さらに近隣の保育園を実習授業の一環として学部生が訪問し、園児たちと遊んだり絵本を読み聞かせする活動を行っているほか、「保育園児のサッカーチームが、有瀬キャンパスのマナビーホール(大学会館4階)を借りて練習したり、学生たちと『勝負』したりしています」。学生たちは、授業以外でも子どもたちとの密な交流を好み、空き時間を利用して自発的に子どもたちの遊び相手をしているという。

子どもの味方でありたいと臨床心理士に


前田准教授の主な研究テーマの一つは「生涯発達心理学」。従来の発達心理学は主に青年期までの変化を扱う学問分野だったが、「生涯発達心理学は、人間の受胎から老衰死に至るまでの、生涯にわたる心身の発達過程を研究するものです」。

そしてもう一つの研究の柱は「臨床心理学」だ。前田准教授は、かつて大阪市立総合医療センター(旧:大阪市立小児保健センター)に臨床心理士・精神保健福祉士として勤務し、主に子どもを対象とした心理テストや心理療法に携わっていたという。

心理学に興味を持ったきっかけは、「洋画好きの両親に、よく映画館に連れていってもらいました。『禁じられた遊び』というフランス映画(1952年公開)を見た時、主人公の幼い男の子と女の子が、周りの大人たちの心ない言動に傷つく場面が強く印象に残り、将来は、子どもを理解し味方になれる仕事をしたいと思いました。また私は長女なのですが、それを周りの人に悟られるのが不思議で、人の性格がどのように作られていくのかを知りたいと思いました」。

そして大学の心理学科で学び、大阪市立総合医療センターの児童青年精神科に勤務した。「子どもの精神科というものが次第に認知され始め、不登校・摂食障害・発達障害などの受診が爆発的に増えてきた時期でした。当時は心理検査の方法も少なく、臨床心理学も確立されていない時代でしたから、まさに手探り。退職するまでの37年間は本当に無我夢中の毎日でした」。

継続的に子育てに関われるシステムを

人文学部准教授 前田 志壽代

子どもの心の問題が急激に増えていく状況を現場で実感し続けていた前田准教授だけに、大学として取り組む地域の子育て支援事業に対する思い入れは強い。「子育て支援により地域とのつながりは大きく広がりましたが、地域の人たちは、この事業をどのように思っておられるのか。2012年に文部科学省と本学が共催した『熟議―2012in神戸学院大学』は、地域のニーズを知り、私たちの思いを伝える良い機会となりました。また本学が立地する有瀬地域は、就学前年齢の子どもが他の地域より多いにもかかわらず、子育て支援の専門家は少なく、このような子育て支援事業が不可欠だという、うれしい情報もいただきました。事業に参加している学生も子どもたちに人気があるようで、実習授業の事前・事後指導などを充実させ、学生たちが定期的かつ継続的に子育て支援に関わっていけるような教育システムを作っていけたらと考えています」。

このような子育て支援事業に積極的に関わることで、発達心理学領域の学部生や臨床心理学系の大学院生たちは、子どものかわいさを再認識すると共に子どもたちの成長の早さに驚き、また子育て環境の大切さを痛感している。「自分自身の親子関係を見直すきっかけにもなっているようですし、子育て支援事業は地域に役立つだけでなく、学生にとっても絶好の学びの機会だと考えています」。

プロフィール

1968年、大阪市立大学文学部心理学専攻卒業。大阪市立小児保健センター精神神経科(69年〜93年)、大阪市立総合医療センター児童青年精神科(93年〜2006年)勤務。07年、関西学院大学大学院文学研究科修士課程修了。10年、同研究科後期博士課程単位取得満期退学。11年、博士(教育心理学)。07年、神戸学院大学人文学部非常勤講師。08年、神戸学院大学人文学部専任講師。2012年、准教授。現在に至る。

主な研究課題

  • 人間の生涯にわたる発達を心理学的に探求する
  • 臨床心理学における臨床の知と科学的な知の融合について
  • 子どもの機能性視聴覚障害に関する研究
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