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2013年5月
統計学という最強の数学を用いて地域社会に貢献を

知の“今”に挑む研究者たち 統計学という最強の数学を用いて地域社会に貢献を。 経営学部 教授 塩出 省吾

自然科学から社会科学まで、幅広い分野に有用な確率計画

経営学部 教授 塩出 省吾

私はもともと、数学を追究したいと思い理系を志しました。しかし、進学した学部は工学部。工学部で研究するうちに、数学そのものを極める純粋数学ではなく、数学を研究のための手段として用いる応用数学の道を歩むことになりました。

応用数学は、自然科学などの理系分野から社会科学などの文系分野に至るまで幅広い領域で活用することができます。私の専門である確率計画も、この応用数学の一つです。

例えば、ある企業が何かを生産してそれを売ろうとした場合、最近の急激な円安などを見ても分かるように、原材料などのコストはその時々の状況によって日々変動します。企業は、そうした不確実性から生じるリスクを含む形で生産量を決定しなければなりません。その際に利用されるのが、確率計画です。この手法を用いると、変動するリスクを確率として捉え、例えば、品切れリスクを最小にする生産量は数式を使って計算することができるのです。

地域イベントでアンケート調査を実施し、次回開催の検討材料としてフィードバック

薬学部
薬学部
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私はこれまで、この確率計画を長年研究してきました。これは、本学の経営学部で教鞭をとるようになっても変わりません。ただ現在は、学ぶ学生が文系であるということもあり、実際の授業では確率計画の難しい理論を教えるのではなく、アンケート調査を通じて学生に統計を学んでもらう方法をとっています。

学生にとって、その入門編と言えるのが、明石駅前の明石公園で開催される「時のウィーク」メインデーでのアンケート調査です。このイベントは、“子午線の街・明石”にちなんで、毎年6月10日の『時の記念日』から1週間実施されており、私のゼミでは10年ほど前からゼミ生によるアンケート調査を行っています。

イベント当日、ゼミ生は事前に自分たちで作成したアンケート用紙を持って会場の各所に向かい、来場者をランダムにピックアップして調査を開始します。ゼミ生は15〜18名ほどですが、一人が最低10人にアンケートに記入してもらうというノルマを課しており、毎年200点近くのアンケートを回収しています。その調査内容を精査・分析して、来場者の地域性や年齢層、リピーター率などを確定し「時のウィーク」の実行委員会に提出。広報活動やイベント内容に反映してもらっています。実際、過去には、そもそものテーマである“時”について考えるような企画がないとの指摘があったため、古代の水時計を子どもたちに製作体験してもらうイベントが追加されたこともありました。

地域貢献と学生の教育に役立つ、アンケート調査を今後も継続

また、文部科学省が地域教育の振興のために実施している「熟議」が昨年の10月に神戸学院大学で開催された際には、「時のウィーク」のアンケート調査結果を参考資料として提出。“地域密着”や“地域ブランド力のアップ”などをテーマに、「時のウィーク」実行委員の方と本学学生が意見を交換して議論を行う場に私のゼミ生も参加し、データ結果について説明しました。

このように、「時のウィーク」のアンケート調査は、少なからず地域貢献の一端を担っていると思われます。そのうえ、見ず知らずの一般参加者を相手にアンケートをとることで、学生のコミュニケーション能力を鍛える場として活用できているという利点もあります。そのためにも、今後も「時のウィーク」でのアンケート調査は継続していきたいと考えています。

統計は、現代社会で相手を合理的に説得することができる強力な武器

経営学部 教授 塩出 省吾

データを用いた統計の手法は、企業においては市場調査などで頻繁に使われています。今や、企業運営には欠かせないものだと言って良いでしょう。個人レベルでは、統計学の理論を知っていると、何らかの企画を提案する際などに説得力を持って相手に説明することができるうえ、提案される側になったときには数字に惑わされることもありません。

私自身はこれからも、実際の社会で実用化できるものを求めて、自身の研究テーマである確率計画を探究し続けたいと考えています。それと同時に、学生にはアンケート調査を通じて統計学に興味を持ってもらいその手法を身に付けることで、社会を渡るうえでの強力な武器にしてほしいと願っています。

プロフィール

1977年、大阪大学工学部応用物理学科卒業。1982年、大阪大学大学院工学研究科博士課程を単位取得満期退学。1982年より九州大学工学部助手、1984年からは大阪大学工学部助手、1985年、工学博士、1987年より神戸商船大学商船学部助教授を務める。1992年からは大阪大学工学部助教授、その後、大阪大学大学院工学研究科助教授を経て1997年、神戸学院大学経済学部教授。2004年以降、神戸学院大学経営学部教授。

主な研究課題

  • 最適配置問題に関する基礎的研究
  • 確率計画法の応用に関する研究
  • アンケート調査の実施と統計分析
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