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2012年6月
スポーツを地域の観光資源に!

神戸学院大学のSocial in 〜地域社会とともに〜スポーツを地域の観光資源に!  人や社会にとってのスポーツの価値を知り、経済学・経営学・社会学などを活用して、その価値を高めようとする「スポーツマネジメント」が専門。プロスポーツによる地域活性化を目指した先進的研究に取り組んでいる。 経営学部講師 柳 久恒

「人とスポーツをつなぐ」ための方策を追究

「スポーツにかかわることで幸せになる人が増えてほしい」と、スポーツマネジメントの研究に取り組む柳久恒講師。自らも学生時代に長くバスケットボールに没頭した経験を持ち、「するスポーツ」「観るスポーツ」「支えるスポーツ」を通じた地域活性化に、強い関心を持っている。

具体的な研究テーマの一つは「スポーツコミッションの可能性」。スポーツコミッションとは、スポーツを地域活性化の資源としてとらえ、スポーツ大会やイベントなどを積極的に誘致しようとする組織のこと。「他の国や地域から人(選手や観戦者など)を呼び寄せるだけでなく、地域の人たちにより多くのスポーツの機会を提供する、つまり『人とスポーツをつなぐ』ためには何が必要かを考えています」。

経営学部講師 柳 久恒

そのようなスポーツコミッションの先駆けとして、2011(平成23)年には、本格的スポーツコミッションである「さいたまスポーツコミッション」が、埼玉県さいたま市に誕生した。「神戸学院大学が立地する関西でも、一般社団法人関西経済同友会が地域の実情に合ったスポーツコミッションの活動内容や組織形態についての研究を続けているようです。今後、さまざまな形のスポーツコミッションが全国に設立されていくと思われます」。

被災地におけるプロスポーツの役割を調査

柳講師のもう一つの研究テーマは「スポーツツーリズムのマーケティング」。スポーツツーリズムとは、一般的にはスポーツを第一目的とした旅行などのこと。「スポーツ選手が大会に出場するため現地に入る、ファンなどが試合を見に行く、あるいはスポーツ大会を支えるボランティアなどが現地で宿泊、飲食すると、地域にお金が落ち経済が活性化します。しかしそのようなスポーツツーリズムを推進するには、今さまざまなプロスポーツのキャンプ地として脚光を浴びている宮崎県のような受け皿を、地域で積極的に整備していく必要があります。具体的にどのような環境が求められていて、それをどう実現し、ターゲットとなる人たちに発信していけば良いのか、ツーリストを呼び込むためには詳細なマーケティングが必要。今後、スポーツコミッションが担える役割なども含めて調査していきたいと思っています」


また柳講師はサッカーなどプロスポーツクラブのマネジメント(どうすればプロスポーツクラブが発展していくのか)にも強い興味を持っているという。「今やほとんどの都道府県に、さまざまなプロスポーツクラブが存在していますが、その組織経営には一般企業とは異なる方法論が必要な場合があります。そしてスポーツで生きていく人たち、喜びを享受できる人たちを増やすためには、もっと多くのスポーツがプロ化するなど発展していくことが求められます。スポーツマネジメントの研究者として、新しいプロスポーツや、その担い手を育てるための材料を集めていきたいと思います」。

今年4月からは、科学研究費補助金の申請が採択された「震災復興とスポーツ/プロスポーツの価値とスポーツツーリズム」という新規の研究テーマにも3カ年計画で取り組み始めている。柳講師自身が昨年3月まで仙台市に住み、前任大学の研究室で東日本大震災に遭遇している。「メディアでも報道されていたように、震災後、プロスポーツ団体や選手がスポーツの指導や交流を通じて被災者を元気づけようとした活動事例が多くあります。プロスポーツがいかに地域に溶け込み活性化に貢献しているか。特に東日本大震災で被災した地域のプロスポーツが地元で果たしてきた役割や効果などを調べ、災害からの復興におけるプロスポーツの意味や価値を明らかにしていきたいと考えています」。

賛同者を増やしスポーツの価値を高める

柳講師が神戸学院大学で担当している授業は、「スポーツマネジメント論」「スポーツマネジメント実習」など。「スポーツマネジメントはまだ新しい学問分野です。スポーツにもマネジメントの世界があることを多くの学生に知ってほしい。しかし私の授業を受けた学生が必ずしもスポーツ団体などで働くことを期待しているわけではありません。スポーツに理解がある人はスポーツを応援してくれます。一般企業に就職した卒業生たちが、スポーツを支える企業活動などに関わってくれることも楽しみにしています。スポーツの賛同者を増やすことで、日本におけるスポーツの価値を高めていきたいですね」。

経営学部講師 柳 久恒

柳講師がこれらの研究や授業で大きな目標としているのは、スポーツが「地域活性化の起爆剤」になりうるという認識を広めること。「スポーツ立国の実現を謳ったスポーツ基本法(2011年8月施行)に基づき、今年3月、スポーツ基本計画(文部科学省)が策定されました。国民の間でもランニングなどがブームになり、7月にはロンドンオリンピックが開催されるなどスポーツに対する関心が高まっている今が、スポーツの振興にとって非常に重要な時期。スポーツコミッションやスポーツツーリズムに関する私の研究が、地域の活性化だけでなく、子どもも含むすべての日本人の心身の健康維持や増進にも役立てていただけるよう、取り組んでいきたいと思っています」。

プロフィール

2000年、福岡教育大学・特別教科教員養成課程保健体育科卒業。2002年、鹿屋体育大学大学院・体育学研究科体育学専攻修士課程修了。2002〜2004年、大阪体育大学大学院教務助手。2006〜2010年、仙台大学・体育学部体育学科スポーツマネジメント・コース助教・講師。2011年から現職。2009年から日本スポーツマネジメント学会運営委員会委員を務める。元仙台市スポーツ振興審議会委員(2010)。「スポーツ・ヘルスツーリズム」原田宗彦・木村和彦編著(大修館書店)の第7章「スポーツ・ヘルスツーリズムのマーケティング」を執筆。

主な研究課題

  • スポーツコミッションの可能性
  • スポーツツーリズムのマーケティング
  • プロスポーツクラブのマネジメント
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