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2007年5月
奥深い研究、幅広い活動 情熱あふれる若き法学博士かく語りき

西原 慎治 法学部准教授

奥深い研究、幅広い活動。
情熱あふれる若き法学博士かく語りき。

西原慎治 Shinji Nishihara

法学部准教授・博士(法学)

歴史から掘り起こす「射倖契約論」

西原 慎治 法学部准教授

大学院時代は商法を学び、今は民法を担当させていただいています。従って、商法と民法の両分野にかかわるテーマ──私の研究はこれ一点です。射倖契約論をご存知でしょうか。一般の方には馴染みの薄い言葉かもしれません。偶発的な利益や幸運を得ようとすることを「射倖」と言いますが、その契約とはつまり“損益が不確実な約束”という言い方ができるでしょう。分かりやすい例を挙げるなら、生命保険がその端的な事例です。極端な話ですが、生命保険に加入した直後に死亡した場合、掛け金とは釣り合わない保険金が入ります。逆もまた然り。株式投資や先物取引なども射倖契約の一種です。

西原 慎治 法学部准教授

明治22年、フランスのギュスタアブ・ボワソナードという人物が、わが国の民法典草案の起草に当たりましたが、その中には射倖契約についての規定がありましたが、お上が賭博まがいの考え方を認めるとは不届きであるということになり、その後の新しい民法典からは姿を消しました。以後、その研究にも、手をつける者はなかったようです。いわば、歴史に埋もれた題材に探求心を触発され、ボワソナード研究やフランスの学説史から出発した私ですが、2007年秋、今度はドイツへ旅立ちます。この度、ミュンヘン大学レオポルド=ヴェンガー・ローマ法史学研究所へ1年間留学することになりました。

あるときは雑誌の発行人兼編集長として

実験的雑誌として法学関係者の間で有名で、かつ評価が極めて高い

研究に直結するわけではないのですが、私の行っている活動で面白いものといえば、『法学雑誌(タートンヌマン)』でしょうか。これは、新しい法学研究・法学教育のための専門誌で、私の母校である慶應義塾大学の先輩から譲り受け、現在、私が編集長を務めています。その道の権威である教授の論文から学生の卒論・討論会までバラエティーに富んだ編集内容で、約300ページというかなり充実したボリューム。07年3月に第9号を発刊しました。発行母体が出版社でも大学でもない法学雑誌というのは、全国でこれ一冊だけかもしれません。学内外の仲間で経費を捻出していますので、商業ベースで考えれば赤字ですが、法学界での高い評価を支えに頑張っています。

ドイツ留学を新たな旅立ちの契機に

フランスにせよドイツにせよイギリスにせよ、法の起原にあるのはローマ法。ドイツへの留学では、その周辺を掘り起こし、自らの知識として持ち帰り、今後の研究に生かすつもりです。そうして射倖契約論を突き詰めた上で、論文にまとめる予定ですが、完成するのはいつになるでしょうか。いずれきちんとした形で完成させるつもりです。その他、出版社からは、教材関連の仕事の依頼もあります。民法入門の本は既にうちのスタッフで書き上げましたが、その他の分野についてもそろそろ自分自身で書くべき時期にきていると思っています。

このように、帰国後の予定は過密でもあり、白紙でもあるという状態。自分への、そして学生諸君への良い土産を、ドイツで探してぜひ持ち帰りたいです。

プロフィール

1973年、兵庫県生まれ。1996年、慶應義塾大学総合政策学部卒業。1998年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2000年、慶應義塾大学大学院法学研究科前期博士課程(修士課程)修了。2003年、慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。同年、神戸学院大学法学部専任講師。2005年、神戸学院大学法学部准教授。2006年、法学博士。2007年、ミュンヘン大学レオポルド=ヴェンガー・ローマ法史学研究所へ留学。

ゼミ主催講演会も積極的に開催

Focus on Lab ―研究室リポート―

「何事も学生たちと同じ目線で共に高め合う」

西原ゼミナールには約50人の学生がいます。ゼミ生によると、その中で一番元気で楽しいのが、先生自身だそう。「学生たちと話していると、昔の自分もそうだったなと感じます。その頃を思い出し、そして、彼らより少し多く重ねた経験を生かし、一緒に考えるのです。私が彼らから教えられることも沢山あります」とおっしゃる西原先生。年4回は合宿を行い、夜を徹して議論したり、難問をぶつけたりしながら、法律のイロハを教え込むという“熱血先生”です。

法学部ではこの春、ポートアイランドキャンパスの開設を記念し、「サステナビリティ社会法の展開」と題した講演会を開催しました。その企画から運営までを主に担当したのが西原ゼミ。先生の人柄と幅広い交友関係から、早稲田大学前総長で同大学大学院教授の奥島考康先生を講演者として招聘することができました。そして、その準備や会場設営、当日の運営までをゼミ生だけで実行。約600人収容の会場は満員の盛況で、無事、ポートアイランドキャンパスの記念すべき第1回目の講演を終えることができました。この行動力や連帯感も、合宿の成果の一つと言えるのではないでしょうか。講演を聴きながら熱心にメモを取る学生たちの姿が印象的でした。

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