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メッセージ/総合リハビリテーション学部 松尾雅文教授 難病克服への第一歩を踏み出して

"非常識"が生み出したデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療法

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(以下、DMDと表記)は、遺伝子の異常でDNAの配列の一部が欠けることで起こる病気です。不具合のある部分をいかに修復するか。それが、これまで研究されてきた通常の考え方でした。しかし、今回の治療薬開発のもとになった私たちの考え方は、不具合のある部分をより広げることで遺伝子の機能を回復させて、タンパク質を発現させようというものです。このような考え方は従来の常識とかけ離れていたため、当初、なかなか受入れられませんでした。

希少疾患であるがゆえの遠い道のりを経て

遺伝子の機能の回復を促すためには、核酸を用いる必要があります。2000年頃、第一三共株式会社は独自の技術を用いた修飾核酸の特許を出願しておられました。そこで、共同で治療薬の開発を実施し、私たちの研究グループは、DMDの治療に有効な核酸の配列で特許を出願することになりました。しかし、DMDが患者数の少ない特殊な病気であるということもあり、なかなか薬の製造にまでたどり着くことができません。その風向きが変わったのは、2010年のこと。外部ファンドの出資により新会社運用の見込みがついたこともあり、治療薬製造へと本格的に動き出すことになったのです。

本格的な治療はここからがスタート

私がDMD治療の研究に本格的に着手してから20年あまり。第一三共株式会社と私たち研究グループの間に立って粘り強く交渉いただいた佐藤督主席の尽力もあり、やっと新会社設立に至ることできました。しかしこれは、本格的な治療のスタートラインに立ったに過ぎません。この20年の間、多くのDMD患者の方々の命が奪われてきました。そうした悲劇をこれ以上繰り返さないために、私も新会社に対して出来る限りの協力を行い、今後も治療薬販売の実現に力を注いでいきたいと思います。

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