防災・社会貢献ユニットの取組み(1)フロントライン

阪神・淡路大震災15年特集

事例その2: 防災・社会貢献ユニットの取組み(1)

「追悼の灯」をともす

2010年1月9日、神戸市中央区にある阪神・淡路大震災に関する記念館「人と防災未来センター」で、「1.17のつどい―阪神・淡路大震災15周年追悼式典―」の祭壇にともす、「追悼の灯り」を採取するための採火式が行われました。採火式には、本学防災・社会貢献ユニット3年次生の岩崎有吾さんと、2年次生の小池真名美さんが参加。採火のあと2人は、地震災害や防災に対する自分たちの想いや決意を宣誓しました。

「1.17のつどい―阪神・淡路大震災15周年追悼式典―」開催当日には、「追悼の灯り」をランタンに入れ、岩崎さんと小池さんの2名と舞子高等学校の生徒4名によって、人と防災未来センターから式典会場の兵庫県公館までの道のりを徒歩で約1時間かけて運ばれました。会場に届けられた「追悼の灯り」は、式典で新成人代表として「県民のことば」を述べた、臼井達也さんに(防災・社会貢献ユニット2年次生)手渡され、祭壇にともされました。

将来は地元・和歌山に戻って
防災教育の大切さを伝えたい

学際教育機構 防災・社会貢献ユニット
(法学部 法律学科)
3年次生 岩崎 有吾 さん

学際教育機構 防災・社会貢献ユニット(法学部 法律学科)3年次生 岩崎 有吾 さん

私が、防災・社会貢献ユニットの舩木先生から採火式と追悼式典の話を聞いたのは、式当日の1週間前のこと。当初は、このような大役だとは夢にも思わず、貴重な経験ができるといった単純な考えだけで引き受けました。しかし、1月9日の採火式を経て、1月17日の追悼式典当日に至るまでの間、皇太子様や首相などVIPの方々も式典に出席されると聞き、非常に緊張したのを覚えています。終わってみると、自分なりに重責を全うできたのではないかと満足しています。私は、和歌山市の出身で、阪神・淡路大震災当時は、まだ子どもだったこともあり、大学で防災に関する知識を学んでいながら、どこか他人事のような気持ちでいました。今回の経験をきっかけに、災害被害の“傍観者”から“当事者”としての意識が高まったと感じます。同時に、今までのようにただ知識を学ぶだけでなく、震災の記憶を継承し、防災についての知識を広めたいという思いがふつふつと湧いてきました。和歌山市は、東海・東南海地震で大きな被害を被る地域のひとつとされているのにも関わらず、防災に対する意識が高いとは感じません。将来の希望としては、地元の和歌山市に戻って、公務員として、防災意識を高め啓発する役割を果たしたいと思っています。

震災を知らない世代に真実を伝え
血の通った防災教育を

学際教育機構 防災・社会貢献ユニット
(法学部 法律学科)
2年次生 小池 真名美 さん

学際教育機構 防災・社会貢献ユニット(法学部 法律学科)2年次生 小池 真名美 さん

私は、幼い頃から地方を転々とする生活を送ってきましたが、阪神・淡路大震災当時は伊丹市に住んでいました。まだ幼かったのですが、非常に大きな揺れを感じたのを今でもよく覚えています。その後、新潟中越地震の際には群馬県内にいて、高校生のときに神戸市の垂水区に引っ越してきました。そうした経緯もあって、防災教育に興味があり、兵庫県立舞子高等学校に進学しました。大学も、防災・社会貢献ユニットに入ることを目指して本学に入学しました。採火式のお話は、急ではありましたが、自分が防災を学ぶ上で大きな経験となると考え積極的に引き受けることにしました。宣誓の言葉は、自分が経験して来たことを盛り込んで、できるだけそれを多くの方に伝えたいと考え作成しました。原稿を作成するにあたり、防災に関して自分が今まで考えてきたことを整理でき、改めて防災教育の必要性を感じることができました。今の中学生以下の世代は、阪神・淡路大震災を経験していません。防災・社会貢献ユニットでは、出前授業などで防災教育を行っています。その際にも、単に過去の事実として語るのではなく、震災時に人々がどれだけの苦労を強いられたか、どのように感じたかといったことを伝えるような、血の通った授業を行っていきたいと思います。

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