東北福祉大学との協定による取組フロントライン

協定に基づく地域間交流

東北福祉大学との協定

2008年3月、本学と宮城県仙台市にキャンパスのある東北福祉大学との間に「防災・減災及びボランティア活動に関する相互支援協定」が締結されました。本学は防災・社会貢献ユニットにおいて、防災や社会貢献に関する先進的なノウハウを有し、また、東北福祉大学は全国でも有数の学生ボランティア活動がさかんな大学で、数多くの実績を残しています。今回の協定は、双方の大学がこうした特色を補完しあい、両校の大学の学生に対する教育の充実を図り、地域社会のボランティア活動に貢献することを目的に結ばれました。

協定締結後は、講師の派遣や研修会の実施など、活発な交流が行われています。こうした交流以外にも、ポートアイランドキャンパスにおいて、本学の主催、東北福祉大学共催で行われた「地球環境防災フォーラム」(2008年5月開催)や、東北福祉大学で行われた東北福祉大学のボランティア活動を地域の方々に紹介する「2009ボランティアありがとう祭」(2009年1月開催)など、双方のイベントやプロジェクトに両校の学生も参加し、学生間での相互理解も深めています。また、昨年の岩手・宮城内陸地震発生の際には、本学も積極的に募金活動を実施しました。今回の新型インフルエンザ発生時には、東北福祉大学をはじめとする他の協定大学より本学に計2300枚のマスクが送られています。7月4日から始まる本学と神戸市主催の「神戸市民夏季防災大学」では、東北福祉大学から講師を派遣していただくなど、緊急時を含めた幅広い協力関係を築いています。

離れているからこそ助け合える
来るべき災害に備えて幅広く緊密な連携を

学際教育機構
防災・社会貢献ユニット
ユニット長 前林 清和 人文学部 教授

学際教育機構 防災・社会貢献ユニット ユニット長 前林 清和 人文学部 教授

4年前に、本学の防災・社会貢献ユニットの教育内容が文部科学省の「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」に採択された際、東北福祉大学も減災やボランティア活動に関する教育プログラムが現代GPに採択されていました。同じ志を持つ大学ということで、相互交流を積み重ねて昨年協定を結ぶ運びとなりました。これまで、教員や学生だけでなく、職員も含めた全学的な交流が活発に行われ、非常に友好的な関係が築かれています。両大学が手を結ぶことで、東北福祉大学はボランティア活動、本学は防災や社会貢献と、それぞれ知識や技術を培ってきた分野を相互で補完し合えるといった利点があります。2大学は東北と関西という距離の離れた地域にあり、一見デメリットが大きいように思えます。しかし、阪神淡路大震災クラスの大災害が発生した際は、発生地点の周辺地域は広範囲に渡って被災地となってしまうため、災害の及んでいない遠隔地の組織と協力関係を築いておく方が、いざという時のためにはむしろ有利なのです。何より、こうした協力関係は、学生が防災や社会貢献、ボランティアに関する幅広い知識を身につけ、実際に社会に役立つ人材へと育ってもらうためにも非常に重要です。実際、今年卒業した防災・社会貢献ユニット1期生の就職率も非常に高く、来年卒業予定の学生においても、一般的に就職率の低下が懸念されるなか順調に就職先が決まっています。この度、本学と東北福祉大学と東京の工学院大学の3大学で連携し、専門共通科目を開設してネットワークを結び、遠隔授業を行うといった内容を核とした取組を、文部科学省「大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム」に申請し、採択されました。こうした試みも含め、今後も他大学を含めた協力関係をより一層強固なものとし、学生に対する教育を充実させていきたいと考えています。

“遠くの友”として協力して学生を育て
地域社会に貢献したい

東北福祉大学
地域減災センター センター長
小松 洋吉 教授

東北福祉大学 地域減災センター センター長 小松 洋吉 教授

2005年に行われた、文部科学省主催の「平成17年度現代GPフォーラム」での、現代GPに採択された神戸学院大学の取組「防災を軸とした地域との相互教育プログラム」についてのグループディスカッションを聞かせていただいたこと。翌年に、本学の取組「地域減災教育による地域福祉の推進」が現代GPに採択されたことを契機に、神戸学院大学との協力関係がスタートしました。2008年に協定が締結された後は、「若者ネットワーク やれ場in神戸」や「2009ボランティアありがとう祭」などにおける学生交流や、本学ボランティアセンターで作成している「学生がつくる学生のためのボランティアハンドブック」への執筆協力のほか、減災学習会、減災技術論の講師の派遣、SD研修会など、共同でさまざまな活動を行ってきました。特に、2009年1月に本学で開催した「2009ボランティアありがとう祭」に神戸学院大学の学生も参加し、地域や海外での社会貢献活動について発表していただきましたが、その内容に本学の学生も強いインパクトを受けたようです。「減災について神戸学院大学がどのような取組をしているのか、じかに聞けて勉強になった。改めてボランティアに対しての意識が高まった」などの感想が多く聞かれ、教育の向上に好影響を与えたものと確信しています。今後も“遠くの友”として、そうした活発な交流の機会を設け、互いが得意としている分野を支援しあうとともに、教職員や学生間の交流等を通して研究・教育の価値を高めあっていければと思っています。そのなかで、「市民力」・「実践力」・「企画力」を兼ね備えた「地域づくり」・「社会貢献」を担える人材の育成を、互いに推進していくことができればよいのではないでしょうか。

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