地元自治体との連携事業 ―「まちの寺子屋師範塾」―フロントライン

「まちの寺子屋師範塾」

昨年の「まちの寺子屋師範塾」の受講の様子
昨年の「まちの寺子屋師範塾」の受講の様子

兵庫県少子対策本部では、2008年より「まちの寺子屋師範塾」事業を展開しています。これは、地域の子育て支援を推進する「まちの寺子屋プロジェクト」の一環として行われている事業のひとつです。事業に参加した兵庫県内の大学で実施される各講座を通して、地域の方々に子育てに関するさまざまな専門知識や実践的技術などを身につけてもらおうというものです。地域の子育て支援を担う人材養成が主な目的で、昨年度は14大学が参加し全16講座が開講されました。講座内容は、食生活や発達障害、子どもを取り巻く環境など子育てに関するテーマで多岐に渡ります。各大学が学びの特色を生かしたテーマを設定し、それぞれの大学で複数回実施され、受講料は全て無料です。講座を修了された方には「まちの寺子屋師範塾修了証」が授与されます。

本学も今年から、「まちの寺子屋師範塾」に参加し、講座を開講します。講座全体のテーマを「子どもの理解と子育て支援」とし、「心理」「食育」「絵本の読み聞かせ」など6回に渡って講座を実施する予定です。今回の講座には、人文学部、栄養学部、経営学部の3学部が連携し、各専任教員が講師としてそれぞれの講座を担当。大学ならではの高度な理論と実践的な専門知識が組み合わされた、実際の子育て支援に役立つ講義内容となっています。

「まちの寺子屋師範塾」神戸学院大学開講講座

【全体テーマ】
子どもの理解と子育て支援
【各講義テーマ・日時等】
  • 第1回 10月19日(月) 10:45~12:15 「子どもの心の発達を考える」 清水寛之 (人文学部人間心理学科教授)
  • 第2回 10月26日(月) 10:45~12:15
    「子どもの成長と大人の役割を考える」  日髙正宏 (人文学部人間心理学科教授 〔心理臨床カウンセリングセンター長〕)
  • 第3回 11月9日(月) 10:45~12:15
    「絵本を読み聞かせる」 中西のりこ (経営学部准教授)
  • 第4回 11月16日(月) 10:45~12:15
    「子どもの食生活を考える」 大畑仁美 (栄養学部講師)
  • 第5回 11月30日(月) 10:45~12:15
    「カウンセリングマインドで子育てを支える」 前田志壽代 (人文学部人間心理学科講師)
  • 第6回 12月7日(月) 10:45~12:15
    「地域での子育て支援を考える(討論)」 小石寛文 (人文学部人間心理学科教授)
【定 員】
20名 (先着順、定員になり次第締め切ります)
【開催場所】
神戸学院大学 有瀬キャンパス 14号館6階
【申込受付期間】
8月20日(木)~10月2日(金)
【受講料】
無料
【申込・お問合せ先】
TEL:078-974-5896/FAX:078-974-5904
企画部 広報・渉外グループ

※「まちの寺子屋師範塾」についての詳細は、下記ホームページをご覧ください。

幅広い領域を網羅しステップアップが可能な
神戸学院大学の講座に大いに期待

兵庫県健康福祉部こども局 少子対策課 子育て支援係
主幹兼係長 日下部 雅之

企業を定年退職した団塊世代の方々の力をお借りし、なんとか地域の子育て支援につなげられないものか。豊かな人生経験を重ねてこられた方々に子どもや子育てに関する専門的な知識を身につけていただいて、地域の子育て支援のリーダーになってもらいたい。そんな考えから、兵庫県内の大学で組織されている大学コンソーシアムひょうご神戸に協力を仰いで、「まちの寺子屋師範塾」の事業はスタートしました。昨年は14の大学に参加していただき、16の講座を開講して約500名の方々が受講されました。全体の3分の2の講座を修了された方には修了証をお渡ししているのですが、その際に「私の活動ノート」という用紙を配っています。そのなかで、こま回しやお手玉などの“昔遊び”や書道・茶道などの伝統文化を通じて、子どもたちに礼儀作法などを伝える「まちの寺子屋」の開設や、幼稚園や保育所などの施設や子育てサークル等が主体となって、子育て中の親子が集い情報交換できる「まちの子育てひろば」など、さまざまな地域の子育て支援活動の場を紹介し、ご希望に応じて、県のコーディネータ等につないでいます。講座の受講をきっかけに、より多くの県民のみなさんに子育て支援に参加していただければと考えています。

今年からは神戸学院大学にも参加してもらうこととなり、「子どもの理解と子育て支援」というテーマでいくつかの講座を開講していただくことになりました。「まちの寺子屋師範塾」は地域の子育てリーダーの養成だけではなく、子育てに関する専門知識を身につけたい、あるいは、教養のひとつとして知識を学びたいなど、さまざまな目的を持って受講される方すべてに対応できる多彩なプログラムが提供できればと考えています。そうした意味では、心理から食育まで幅広い領域を網羅し、初心者からのステップアップが可能な学習内容となっている神戸学院大学の講座は、総合大学としての強みを感じるバランスがとれた理想的なプログラムと言えるのではないでしょうか。多くの方が受講し満足していただけることを、大いに期待しています。

カウンセリング・マインドを持った
地域の“師範”を育てたい

心理臨床カウンセリングセンター長
人文学部 人間心理学科
日髙 正宏 教授

心理臨床カウンセリングセンター長 人文学部 人間心理学科 日髙 正宏 教授

本学人文学部の人間心理学科には、高齢者医療や児童福祉の各施設や医療機関などで、実際の業務にあたっていた11人の臨床心理士が専任教員として在籍しています。そうした臨床現場を体験している経験豊富な臨床心理士の教員が揃っているということと、本年度から人間文化学研究科心理学専攻臨床心理学系が、財団法人日本臨床心理士資格認定協会の実施する臨床心理士の受験資格を有する大学院(1種)として指定されたこともあり、地域の子育て支援というテーマに大いに貢献できるとの思いから、今年から「まちの寺子屋師範塾」で講義を開設することになりました。最終的には、経営学部と栄養学部の教員も1名ずつ加わる形で今回のプログラムがスタートしたわけです。各講義は、子育てに関する心理学分野の理論と技術、絵本の読み聞かせや食育など幅広い内容となっています。講義の合間に、実際の悩み相談の受け答えを受講生同士でしてみたり、絵本の読み聞かせや食育の講義では、練習や意見交換をしながら進める予定となっています。募集人員を少人数に絞ったのも、そうした実践的な授業が行いやすい環境を確保するためです。最終6回目の講義では、受講者に講義全体の感想を話し合っていただき、来年からの講義内容の構成に反映したいと考えています。今回のプログラムは、子育て真っ盛りの世代ではなく、あくまでそうした世代をサポートする方々の養成を目的としていることを意識し、全体を通して“カウンセリング・マインド”を養ってもらうことを第一のテーマに講義内容を構成しました。本学の「まちの寺子屋師範塾」を通じて、兵庫県内の各地域で子育てに対して孤独感を抱えている親たちを、そっと見守る。そんな“カウンセリング・マインド”を持った方々が誕生してくれることを期待しています。

Information

大学院人間文化学研究科心理学専攻 臨床心理士第一種指定校
指定記念フォーラム「地域に根ざす心理臨床」を開催

本学大学院人間文化学研究科心理学専攻臨床心理学系が、財団法人日本臨床心理士資格認定協会の実施する臨床心理士の受験資格を有する大学院(1種)に指定されたのを記念して、「地域に根ざす心理臨床」と題してフォーラムが開催されました。この様子については、後日學報トピックスに掲載します。ぜひご覧下さい。

【開催日時】
7月11日(土) 13:00~16:30
【開催場所】
神戸学院大学 有瀬キャンパス
[第1部]
指定記念フォーラム「地域に根ざす心理臨床」 13:00~14:50
[第2部]
分科会 15:00~16:30
  • 大学院説明会
  • 講演 「発達検査の読み方」
    ※参加は教育・福祉関係者のみ
  • ミニレクチャー・懇談会「認知症とともに」
※認知症の心配を抱えておられる方、認知症の診断を受けた方とそのご家族対象
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