「ポーアイ4大学による連携事業―安全・安心・健康のための総合プログラムを軸として―」とは その2:各プロジェクトを運営する専門機関の活動フロントライン

その2:各プロジェクトを運営する専門機関の活動

地域と学生、4大学の学生同士が広く交流する場に

ポーアイ4大学連携推進センター
コーディネータ
田中 綾子

「ポーアイ4大学連携推進センター」が統括する「ポーアイ安全・安心ステーション」と「ポーアイ健康・生活支援ステーション」で実施予定のプログラムは、4大学の得意分野を活かした地域貢献が中心となっています。新たな試みとしては、AED(自動体外式除細動器)や地震計の設置など、まずハードウェア面の統一化を図っていくことが決定しています。コーディネータの役割は、センターと2つのステーションではやや異なります。ステーションのコーディネータは、プログラムに関わる外部組織や4大学で組織されている部門ごとの連携機関との調整と運営が主な仕事となりますが、センターのコーディネータは、文部科学省に対する窓口業務や事業の予算管理、備品の調達、事業の広報活動など、プロジェクト全体の運営を任されています。まだ、センター自体が発足したばかりということもあり、今はともかく、本事業で実施予定のプログラムを把握し4大学の関係者に周知させていただいている段階です。そのうえで、今後はどうすれば効果的に効率よく事業が運営されるのかを考えていきたいと思っています。今回のプロジェクトの目的のひとつは、安全・安心・健康についての専門的な知識やスキルを学ぶ場を広く4大学の学生に開放し、より多くの学生に参加してもらうことです。そのためにも、このプロジェクトの存在を地域住民を含め、4大学の学生にまずは知ってもらうこと。そのための広報に、当面は力を注ぎたいと思っています。

地域社会の「安全と安心」をと共に考え進める“絆づくり”

ポーアイ4大学連携推進センター ポーアイ安全・安心ステーション
マネージャー 浅野 壽夫 教授
(学際教育機構 防災・社会貢献ユニット)
コーディネータ 三木 まさよ

ポートアイランドにある4大学は「地域の人々」の「安全と安心」と「健康」を共に考え実現していく場として「ポーアイ4大学連携事業」を10月から開始しました。
そしてこの「安全と安心」分野の事業を進めるため、神戸学院大学に「ポーアイ安全・安心ステーション」を開設しました。すでに大学と地域の人々と共同での取組みが行われています。

大学の殻を破ってもっと地域へ
4大学・地域間に双方向学習の場を提供したい

ポーアイ健康・生活支援ステーション マネージャー
兵庫医療大学 薬学部 医療薬学科
前田 初男 教授

ポーアイ健康・生活支援ステーション マネージャー 兵庫医療大学 薬学部 医療薬学科 前田 初男 教授

今の大学は、学生に対する教育とともに、リカレント教育、つまり生涯教育の場としても重要な役割を担うようになっています。だれもがいつでも、学びたいと思う時に学べる場を提供する媒体として「ポーアイ健康・生活支援ステーション」は開設されました。ステーションでは、“健康づくりと生活支援”をテーマにした活動を予定しています。QOL向上に結びつく「予防医療」、「介護」そして「食生活」をキーワードに、兵庫医療大学、神戸女子大学ならびに神戸女子短期大学が講座や教室を開講します。現在は事業がスタートしたばかりということもあり、今年度は、これまで各大学が独自で行ってきた地域貢献活動を4大学連携事業として引き続き運営していきます。ただ、大学連携が大前提の事業ですので、来年度からは4大学合同で行う新しいプログラムの開設も構想中です。今、私が考えている事業の1つは、学生と地域住民が一緒に考えるワークショップの実施です。学生と住民が7、8名のグループに分かれて、リードユーザーとしての高齢者や障害者から、車椅子、薬などについて困っていることをヒアリングする。リードユーザーが持っている問題点に気づき、それを改善したプロダクトをデザインする。そして、グループ毎にプレゼンテーションを行なう。こんなワークショップです。以前から、兵庫医療大学では介護や予防医療などをテーマに公開講座を実施していますが、この形態では、どうしても一方通行になりがちです。そうではなく、住民と学生、講師が一緒になってひとつの課題に挑戦することでお互いが刺激し合う。そうした双方向でコミュニケーションできるプログラムを実現したいと考えています。

私は、今回の事業が文部科学省に採択されたことにより、4大学が連携して地域貢献するという大命題が掲げられたことに第一の意義があると考えています。この大命題が、医療や介護、生活支援などの専門知識を有した4大学の教員・学生がそれぞれの大学だけに閉じこもらず地域にどんどん出て行くきっかけになればよいと考えています。ぜひ、地域住民の方には、こうした生涯学習の場を活用し、私たちとともに学んでいただけることを願っています。

ステーションプログラム実施予定図
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