薬学部フロントライン

新キャンパスの“学び”について

薬学部(2~6年次)

授業風景

薬学部は、2006年度から6年制へと移行し、2007年度はキャンパスもポートアイランドに移転しました。ポートアイランドキャンパスでは2年次生から6年次生が学びます。1・2年次生は、従来型の教養教育・薬学専門基礎教育に加え、コアカリキュラムに沿った基本的な専門科目を学修します。3・4年次生はこれらの専門科目に、さらに医療的な分野が加わったより実践的な学修に移行します。5・6年次生は臨床実務実習およびアドバンスト教育が中心となります。現在、新制度に基づいたカリキュラムの1・2年次分がすでに実施されていますが、3年次以降のカリキュラムもコアカリキュラムに基づいて、カリキュラム検討委員会でシラバス作成に向けて検証、精査中です。新制度の1年次生が2年次生となった現時点でも、現行の1年次生のカリキュラムを検証し、見直すべき点があれば手直しをします。

授業風景

6年制への移行の大きな目的は、単に医師から処方された薬を調剤し、患者に渡すだけの存在から、より大きな責任を担うポジションにシフトさせることにあります。薬剤師に必要とされる基本スキルは、医師の処方ミスを未然に防ぐために、医師が発行した処方箋の十分な精査・検討を行い、それに基づいて調剤された薬を患者さん手渡すときに、納得の行くまでの説明と服薬指導を行うことが求められます。このためには薬学の高度な知識に加え医学の基礎知識も必要となります。同時に、患者とうまく意思疎通を図れるコミュニケーション能力の向上も求められるようになります。新カリキュラムではそうした能力を向上させるための科目の充実が図られています。

授業風景

さらに、新制度では、4年次生の終わりに、全国の各薬科大学・薬学部の教員が作成し、共用試験センターで選定された問題に答えるCBT(コンピュータを利用する共通試験)を受験し、パスしなければ薬学に関する知識が不足していると見なされ5年次生に進級できません。さらに5年次生になると、実務実習のための実地試験に相当する、OSCE試験(客観的臨床能力試験)を受け、こちらもパスしないと病院実習に出られず自動的に留年となるなど、非常に厳しい学修内容となっています。

そうした、薬剤師としてより高度なスキルを身につけた人材の育成を高レベルでサポートするため、万全の学習体制はもちろん、最新の設備がそろうポートアイランドキャンパスというハード面での充足によって、最高の学習環境が薬学部に実現しています。

薬学教育の究極の目標、
“処方ができる夢の薬剤師”を目指して


谷 昇平 学部長
谷 昇平 学部長

薬学部は昨年度から6年制へと移行し、より高度な専門知識とコミュニケーション能力が同時に加わったハイレベルの薬剤師の育成が求められるようになりました。新しい体制では、6年制薬学完成年度に、文部科学省指導によって設置された外部の第三者機関による薬学教育第三者評価という評価調査が入り、各大学の薬学教育が一定のレベルに達しているかが問われます。

評価基準には、最初に掲げた理念と目標が達せられているか、医療人教育が適切になされているかなど、さまざまです。それらを一定の水準以上達していないと判断され公表されれば、たちまち学部の評価を落とす結果になります。例えば、Dランクなどという格付けになろうものなら、受験生にはそっぽを向かれ医療機関からも信頼されなくなるでしょう。逆に高評価されれば、大きく本学部をアピールできる訳です。そのため、本学部でもカリキュラムの構築や教育内容の充実に心血を注ぎ、よりよいサポート体制を築く努力をしています。

6年制薬学教育課程の4年次生と5年次生には、CBT(共用試験)やOSCE(実地試験相当)試験が実施されますが、今年度中に4年制課程の3年次生に協力していただき、それぞれの試験に対応した模擬トライアルを実施して今後に備えます。高度な医療人としての薬剤師育成が本学部の当面の大きな目的ですが、将来には、さらに押し進めて“自ら処方することのできる薬剤師”を育成するのが夢です。これは、すでにアメリカやカナダの一部の病院で実施されているのですが、日本にもそうした時代がくることを願い、本学部もそのレベルを目指して努力していきたいと思います。

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