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学部長からのメッセージ

学部長 早木 仁成

 「人文」の勉強って何をするのか、何の役に立つのか分からないという声を耳にします。

 人文学とは、「人間について考える」学問です。人間はきわめて多様な側面をもっていますから、人間について考えようとすると、さまざまなことに目を配る必要があります。人文学の中では、多種多様な事柄が「人間」というキーワードの下でつながってきます。たとえば、あなたが今日食べた昼食を思い浮かべてみてください。そこにはさまざまな食材が器に盛られていたはずです。それぞれの食材には由来があり、誰かがどこかで生産し、さまざまに加工され、運搬され、売買され、料理されて、あなたの胃袋に消えていったはずです。そこにはさまざまな思いを抱きながらかかわりあう人々の暮らしや伝統があり、それらが相互に依存しつつ、あなたの暮らしを支えています。こうして、当たり前すぎて普段気にも留めなかった事柄や、自分とは関係のない遠い世界のことと思っていた事項が、ある視点を見出すことで思いがけず繋がっていることに気がつきます。

 人文の勉強は「人間」とかかわりのあるあらゆる範囲に及び、そこには、人間として生きていくためのさまざまな知恵が埋め込まれています。学生たちは、それを自分で発見し、自分の人生に活かしていくことが大切なのです。私たちは、以前からそれを「おもしろがる学問」と呼んで、学生たちに伝えようとしてきました。おもしろがることは人文の知の作法といってもよいものです。皆さんは、勉強とは我慢を強いられる辛いものだと感じているかもしれません。たしかにそのような一面もありますが、一方で勉強はおもしろいものでもあります。その証拠に、小学校低学年の子供たちはたいてい勉強が大好きで、先生に教えてもらう新しい話題に目を輝かせています。あなたにもそのような経験があるでしょう。人は新しい知識を手に入れることに喜びを感じる生き物なのです。

 おもしろがって学ぶことは主体性と想像力を高め、新しいものを創造する力を養います。人文の勉強はすぐに何かの役に立つようには見えないかもしれませんが、一方で、すぐに役立つように見える事柄は、すぐに役に立たなくなってしまうことも多いものです。人文の学びの中で、ほんの少し回り道をして、勉強を楽しみながら長く役立つ本当の力を手に入れ、人として成長していきましょう。

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